土と水と木と炎だけで作る1000年先まで残る器。
縄文時代に作られた火焔型土器は、同じ材料、同じ製法で実際に制作してみると、大変高い技術を持った者の手で作られたという事がわかります。粘土を採取し、道具を使い、形にして焼くという一連の作業は容易なことではなかったでしょう。そうして作られた土器は、現代まで当時の姿を留めており、その時代を生きた作り手の強い想いと圧倒的な力強さが、私たちを深く感動させます。古墳時代の須恵器や平安時代の常滑経塚壷などもまた、このようにして1000年以上も人から人へと感動と共に伝えられ、歴史に残ってきました。
それでは、現代に生きる私たちが1000年先まで作品を残すためには、一体どんなモノを作ればいいのか。高度な制作技術は言うまでもなく、その時代によくぞここまで出来たものだという作り手の情熱と、器そのものの美しさ、そして登り窯による高温長期間焼成にも耐え抜く逞しさが必要ではないでしょうか。これは世界最長の登り窯築窯から始まった、はるか未来へ器を残す壮大なプロジェクト。その答えがわかるのは1000年後です。
器と共に、技術も未来へつないでいこう。
このプロジェクトで使われる世界最長の登り窯は、古くから使われてきた薪窯のひとつですが、燃料となる大量の薪の準備や、昼夜を問わず何日も焚き続ける労力、そして温度を見極める熟練の技術が必要なことから、焼成に使用する作家や窯元が年を追うごとに少なくなっています。登り窯の技術は、現在登り窯を所有する方々でつないでいくしかなく、このままでは日本の登り窯から火が消える時が訪れるかもしれません。
私たちはこのプロジェクトを通して、薪窯を持たない作家やこれから窯業を目指す若い方々と窯をシェアし、一緒に焼成体験を重ねることで、失われつつある技術を次につなぐ担い手を育み、同じ窯を共に囲むコミュニティーを構築していきたいと思っています。
プロジェクトの概要
名称
日程
会場
共催
後援
世界最長103メートルの登り窯初火入れプロジェクト
〈火入れ〜火止め〉
2022年9月20日(火)火入れ → 2022年12月火止め予定(初日に火入れ式を行います)
〈窯出しイベント・作品展示会〉
火止め後に窯出しイベントや焼成作品の展示会を予定しています。 窯出し後の詳しい日程は本ページにて追ってご案内いたします。
津軽烏城焼 三筋工房 青森県黒石市豊岡字狼森27-109
(一社)TOMOS/津軽烏城焼
三筋工房 黒石商工会議所/(一社)黒石観光協会/黒石物産協会/Knock2 World/(株)また旅くらぶ
プロジェクトの目的
103m(52部屋)世界最長の登り窯に作品を詰め、約3ヵ月間にわたり火を絶やすことなく焚き続ける、挑戦的なプロジェクトです。窯元である津軽烏城焼の陶工をはじめ、各地で活動している個性豊かな陶芸家、多岐にわたり活躍しているアーティスト、そして陶芸を通して人生を豊かにしたいと考えている方々が作家として、あるいは支援者として参加し、ひとつの大きな登り窯を共有しながらそれぞれの個性を生かした作品を焼き上げていきます。
このプロジェクトは単なる作品制作にとどまらず、実際に大きな登り窯の窯焚きを経験することにより、薪窯焼成に関する技術の伝承と、そこから生まれる自然釉の美しさを知ることで、参加者、地域活性・アート分野の発展の一助となることを目指しています。
また、窯焚き中の様子やこのプロジェクトで生まれた作品を記録・発信していくことで、来場が難しい世界中の方々にも臨場感あふれる窯焚き、窯出しを楽しんでいただきたいと考えています。このプロジェクトを通して、多くの方に薪窯焼成のロマンを感じていただき、次回の窯焚きは参加してみたいと思っていただけるようなきっかけになれば幸いです。
プロジェクト達成に向けて
登り窯での焼成には、燃料となる大量の赤松が必要です。このプロジェクトでは、近年確保が難しくなってきたとも言われる良質の赤松を、青森県内の林業、製材業の方々と連携し調達するところからスタートします。調達した薪は窯にくべやすいサイズまでカットし、よく燃えるように乾燥させます。また窯焚き期間中は炎や温度を人の手でコントロールしなくてはならないため、期間終了までアクシデントが無いか注視しながら、24時間体制で焚き続けます。手軽に焼成できる電気やガスの窯とは違い、燃料の手配から実際の焼成まで、多くの方の協力を要します。
※全52部屋焼成できた場合
登り窯ひと部屋焚くには・・・
ひと部屋にかかる費用=約100万円
下の部屋から煙道(炎道)をくぐり、入ってきた炎で程よい温度になっている窯に、横からさし木をくべることにより、更に温度を上げていき、作品に被っている灰を溶かす窯の中で渦巻く炎は次の部屋へも灰を運び、次の窯焚きに移るころには窯の中の温度は1,300℃を超え白い炎となります。
プロジェクトに必要な資金
前述の通り、登り窯の一室を焚き上げるにはおよそ100万円の費用が掛かりますが、一人の陶工では実現がとても難しいプロジェクトです。利益や効率重視の現代にはそぐわない事業ですが、モノづくりの未来を輝かせる為に、(一社)TOMOSが中心となり支援の輪を広げ、世界最長の窯の火入れを実現したいと思っております。誰も焚いたことのない、103mの登り窯からはどんな作品が生まれるのか・・・予想もできないような様々な出来事を皆様と共有し、体験していきたいと思っております。より多くの部屋に火が灯るよう皆様の多大なるご支援をお願いいたします。
100万円を1部屋とし、支援金額に応じて焼成する部屋数が変わります。 2022年3月31日時点での支援金の総額で焼成する部屋数を決定する予定です。
支援金額1,000万円 → 焚き口から10部屋まで焼成
支援金額3,000万円 → 焚き口から30部屋まで焼成
支援金額5,200万円 → 焚き口から52部屋の全部屋で焼成
全部屋焼成がプロジェクトの最終ゴールです。